老人保健施設は、高齢者が介護や看護サービスを受けながら生活する場所というイメージで、病院と一般住宅の橋渡しをする役割のある施設として位置づけられていることを知っている人はあまり多くないことでしょう。
老人保健施設は、病院的な機能やリハビリ施設としての機能を持っている介護施設で、専門スタッフによるリハビリによって入所者の在宅復帰を目指すことを目的としています。そのため、しばらく入院していたために日常生活にそのまま戻ることに不安を感じている方などの、準備段階として入所することが多く見られます。
老人保健施設の最大のメリットは、在宅復帰のために理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった専門家による、充実した機器や設備を利用した質の高いリハビリが受けられることです。リハビリに特化した専門スタッフは、入所者100名に対して1名以上の常駐が義務付けられていることが、ほかの老人ホームとの大きな違いです。老人保健施設では、入所者が早く自宅で日常生活を送れるようにリハビリに重点を置いており、週に2回から3回の自力でベッドから車椅子への移動や歩行などの訓練を行なっています。
リハビリのほかにも、1名以上の医師と看護師が常駐し、日々の入所者の体調管理を行ない、食事や入浴、着替えなどの介助を必要とする場合には、状況に応じた介護サービスが受けられます。
また、老人保健施設では、栄養士による栄養管理が行なわれているのが一般的で、入所者の持病や嚥下能力などに合わせた配慮があるのもうれしいポイントです。